大学受験問題 解説記事

大学受験問題(数学)についての解説記事

2022年度 明治大学 理工学部 〔Ⅰ〕(2)

〔目次〕

問題

解答はマークシートで、各文字には0~9の数字が該当する。

2022年度 明治大学 理工学部 〔Ⅰ〕(2)



(a) 2つの関数の共有点の個数

数多くの問題を解き、典型パターンは瞬時に解ける読者の皆様なら、以下の手順はすぐに思いつくだろう。


 y = -2x + tと変形して、曲線 Cに代入して、判別式 Dを出す。

判別式 Dについて、0より大きくなるような tの条件を探す。







・・・なぜその手順になるのか説明できるだろうか?


きちんと説明できる人はそう多くないはずだ。



また、仮にこんな手順が思いつかなくても大丈夫。


今から丁寧にこの問題を解説していく。










まず、曲線 Cとは、 x^2 + 2xy + 2y^2 = 5を満たす点 (x, y)の集合だと考えることができる。


また、直線を lとすれば、直線 lは、 2x + y =tを満たす点 (x, y)の集合だと考えることができる。


ここで、その2つの共有点 (x, y)について考えると、その点 (x, y)は、曲線 Cと、直線 lの条件を両方満たす (x, y)であることとなる。


つまり、この2つの式の (x, y)が同じということなので、まずは、直線 lで満たされる関係式 y = -2x + tを曲線 Cに代入してあげるという手順になる。

 \begin{align}
x^2 + 2xy + 2y^2 &= 5 \\
x^2 + 2x(-2x+t) + 2(-2x+t)^2 &= 5 \\
5x^2 - 6t x +(2t^2 - 5) &= 0 \tag{1}
\end{align}


さて、ここで xについての2次方程式になったが、さっきの話に戻れば、この xの値は、曲線 C と直線 lの共有点の x座標の値となるはずである。

つまり、問題文の「共有点をもつとき」という条件は、「式(1)について xが実数解を持つとき」という条件に置き換えることができる。

さて、二次方程式の解の条件をおさらいしたい方はこのリンクを押してみてね。



準備はできたかな?





さて、式(1)について xが実数解を持つためには、判別式 Dを求めて、 D \geq 0であれば良いね。

今回は一次の係数が偶数なので、判別式 D/4を用いて求めていこう。

 \begin{align}
D/4 &= (-3t)^2 -5(2t^2 - 5) \\
&= -t^2 + 25
\end{align}

よって、 D/4 \leq 0となるには、

 \begin{align}
 -t^2 + 25 &\geq 0 \\
t^2 &\leq 25 \\
\therefore -5 \leq &x \leq 5
\end{align}

が答えとなる。



juken-kaisetsu.hatenablog.com




(b) 2つの関数の共有点

途中までは(a)と同じように考える。

つまり、式(1)で共有点の (x,y)についての関係式を出すところまでは同じ。

 5x^2 - 6t x +(2t^2 - 5) = 0 \tag{1}

これについて、今回は、「 x\geq0 の範囲で少なくとも1個共有点をもつとき」という条件だから、「式(1)で、 x x\geq0 の範囲に実数解をもつとき」という条件に変わる。

さて、これを求めるためには、式(1)のグラフをイメージして、 x軸との交点について考えればよい。

グラフを出すために平方完成すると、

 \displaystyle
f(x) = 5(x - \frac{3}{5}t)^2 + (\frac{1}{5}t^2 - 5) = 0

となり、 \displaystyle x = \frac{3}{5}tを軸とした二次関数になることが分かる。

 f(x)と置いたのは以降の説明のためである。




さて、ここからが少し複雑になる。

まず、交点を1つ以上もつためには(a)で考えた条件が必要で、 -5 \leq x \leq 5 \dots①となる。

ここで、 f(x)の最小値を考えると、平方完成した式から、 \displaystyle min f(x) = \frac{1}{5}t^2 - 5となり、これはその条件で常にマイナスになる。

つまり、軸の部分で yの値は必ず負の値をとることになる。




続いて、軸が正の側にあるときを考えてほしい。

つまり、
 \displaystyle \begin{align}
 \frac{3}{5}t &\leq 0 \\
t &\leq 0
\end{align}
の時。

軸が正の側にあるとき


軸が正の側にあれば、以上のグラフのような概形になり、軸よりも右側で必ず x軸と交点を持つ。

よって、条件は①と合わせて、 0 \leq x \leq 5となる。




次に、軸が負の側にあるときを考えてみる。

つまり、
 \displaystyle \begin{align}
 \frac{3}{5}t &\geq 0 \\
t &\geq 0
\end{align}
の時。

軸が負の側にあるとき

このとき、 x = 0での yの値が負になっていれば、 0 以上でグラフと x軸が交点を持つことが分かる。

これを数式にすれば、

 \displaystyle \begin{align}
f(0) &= 2t^2 - 5 \leq 0 \\
\therefore -\frac{\sqrt{10}}{2} &\leq x \leq \frac{\sqrt{10}}{2}
\end{align}

となり、条件①と合わせて、 \displaystyle -\frac{\sqrt{10}}{2} \leq x \leq 0 となる。




よって、軸が正の場合と負の場合を両方考えれば、

 \displaystyle
 -\frac{\sqrt{10}}{2} \leq x \leq 5

が解答となる。